2005年09月21日

インチキ国民投票法案の提出を許すな  

特別国会の初日である。日経の夕刊を見て驚いた。
一面トップに、「郵政早期成立めざす」という見出しと並んで、「国民投票法案提出へ」とある。おいおい、調子づくのもいい加減にしろ。

記事の内容は、次のようなもの。
「自民、公明両党は21日朝の幹事長・国会対策委員長会談で、憲法改正手続きを定める国民投票法案を特別国会に提出する方針を決めた。民主党に共同提案も視野に協議を呼び掛けたうえで、成立を目指す。当初は来年の通常国会への提出を予定していたが、同法案の制定に前向きな前原誠司氏が民主党代表に就いたことを踏まえ、提出を前倒しする」

何ということだ。300議席を得た今の内に、一気呵成に外堀を埋めておこうということなのだ。あの、欠陥だらけの、悪評高い「議連案」→「与党案(04年12月3日策定)」をそのまま、特別国会に持ち出そうという破廉恥さ。

民主党は、今年4月25日に「論点とりまとめ案」を発表している。与党案と較べれば、月とスッポン、提灯に釣り鐘。比較にならない民主的な中身になっている。

実のところ、「国会提出法案が民主党案の線で出てきたら手強い」「この案だと反対しにくいのではないか」という内輪の議論があった。そんな「心配」は吹き飛んだ。あの無茶苦茶なままの法案が出てくるのだ。

メディアをがんじがらめに罰則で規制し、外国人を国民投票運動から排除し、教育者・公務員の運動を事実上禁止し、運動期間を制限する。しかも、個別の改正条項ごとに国民に賛否を問うのではなく、国会の発議案全体を一括して賛否を問おうというインチキ。これらの内容について、日経が何の問題意識も持ちあわせていないことが、また恐い。

こんなインチキ法案しか出せないのは、与党が、国民の憲法意識をおそれているからだ。堂々と、民意反映の国民投票法では、9条改憲困難と考えているからなのだ。小選挙区制と「郵政」で議席を掠めとったがごとく、インチキ国民投票案で改憲を掠めとろうという魂胆。そいつはあんまりだ。