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伊藤和子のNYだより

第0002回 (2004/09/06)
共和党大会・その後

 みなさん、こんにちは。お元気ですか?
 伊藤和子@NYです。
50万人のデモ行進 先週NYは共和党大会で、町中警官だらけ、交通規制で大渋滞、一息つこうとスターバックスに入っても、常駐している警官に出くわす、という精神衛生上よくない状況で、今、嵐が去ってほっとしています。
 さて(^^)きっと日本でも報道されていることと思いますけれど、先週日曜日は共和党大会を控えて50万人もの市民がNYのプロテストに参加し、マンハッタンの目抜き通りを「反ブッシュ」を掲げてウォークしました。みんなのメッセージはイラクからの撤退を求め、イラク戦争でたくさんの罪のないひとを殺したブッシュ政権の責任を問うものでした。
 詳細はこちら。http://www.unitedforpeace.org/ 

 アメリカでももちろん主要メディアによって大きく報道されました。
 ラリーをめぐって市と主催者が対立していましたが、マディソンスクエアからセントラル・パークに向かわず、ダウンタウン側に戻ってくるコースのパレードを許す、ということで、市と主催者が和解し、大パレードになりました。
 その前後も毎日市民がNYのあちこちでイラク戦争の責任を取り上げてブッシュ政権へのプロテストの表現活動をしていました。
 しかし、すさまじいのは、この間、合わせて1800人以上の市民が逮捕されたことです。これは政権党の党大会史上最高の人数だそうです。
 みんな、平和的なプロテストをしているにも関わらず逮捕されてます。
 ニューヨーク市警は、シアトルのWTOのような派手なプロテストが全米にブロードキャストされることを避けるため、18ヶ月も準備をして、プロテストが過激化する水際で逮捕をする、という作戦に出たということです。
 先々週金曜日はバイクで反ブッシュを訴えに来た3000人くらいのサイクリングの若者のうち250人、先週火曜日は市立図書館付近で一日で1200人(劣化ウラン問題の市民アクティビストのdenis kyneさん  http://www.denniskyne.comもそのひとりだそう)が逮捕されました。
 こちらでは逮捕された人は最長でも24時間以内に裁判官と面会して事実関係に関する認否をすることになっているのに警察はこの規定に従わずに拘禁を続けました。cityの裁判官はこうした状況に照らして約450人を釈放するよう命じ、約450人が釈放されましたが、残りの人はまだ拘束されています。
 NLG,ACLUの弁護士たちが弁護に飛び回っています。こちらでは、IDを見せろと警官に求められ拒絶した者を逮捕することは合法、プラカードにくっつけるポールは全て凶器とみなされ、凶器所持で逮捕することも合法、という状況です。「愛国法」の影響は恐ろしいですね。
 でも、私も日曜日パレードに参加しましたが、パレードはとても陽気で楽しく、音楽や踊りなどがあちこちあり、女性はピンクの服を着飾ってブッシュはやめろと訴えていて(アメリカでは解雇されるときにピンクの紙が渡されるらしい)、市民の躍動を感じました。
 ここは野蛮な抑圧もあるけれど、抵抗の底力というか、グラス・ルーツの力も強い国だなあ、と実感しました。
 先週の日曜日のパレードの写真を一枚貼り付けます。「華氏9.11」のマイケル・ムーアと、ジェシー・ジャクソンが並んでいます。

 ちなみに、私の日常は毎週300ページくらいの英文を読んで講義に出る、という過酷な(^^;)キャンパス・ライフなのですが、インドやガーナ、シェラレオネなどから集まった志の高い女性弁護士たちと一緒に、国際法と国際人権の視点から公正な世界秩序を探求する、という研究に携わっています。
 ではでは。

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