2026年1月22日
改憲問題対策法律家6団体連絡会
社会文化法律センター 共同代表理事 海渡 雄一
自由法曹団 団長 黒岩 哲彦
青年法律家協会弁護士学者合同部会 議長 田村 優介
日本国際法律家協会 会長 田中 俊
日本反核法律家協会 会長 大久保賢一
日本民主法律家協会 理事長 稲 正樹
高市早苗首相は、1月19日、来る通常国会冒頭で衆議院を解散するとの意向を明らかにした。通常国会で、自民党及び首相の統一協会との癒着問題や日本維新の会の組織的な社会保険料逃れ疑惑、首相の台湾有事発言による中国の関係悪化と日本経済に対する深刻な影響の懸念、アベノミクスの失策により円安がとまらず物価高が庶民の生活を直撃している現状など山積みの課題を追及されることを避け、内閣支持率頼みで冒頭解散し、野党に準備の暇を与えない選挙によって過半数を獲得し、「国民の信を得た」として自民・維新で取り交わした「政策合意」を問答無用で推し進める体制を整えようという企てである。
これまでにも衆議院の解散は、時の政権や首相の「党利党略」「自己保身」に基づくものと繰り返し批判されてきたが、今回の解散ほどそれが極端に現れた例はない。憲法7条によって、内閣に実質的な解散決定権が認められるとする慣行があるとしても、それは「首相の専権事項」などではなく、あくまで国会にそして国民に責任を負うべき「内閣」としての決定であり、その決定は、真に主権者たる国民の審判を仰ぐべき時にのみ許されるとするのが憲法の趣旨である。国民の窮乏を後目に「党利党略」や「自己保身」のためにする解散は厳しく批判されねばならない。来年度予算案の国会審議から逃亡し解散権を乱用した内閣は、総選挙による国民の審判によって断罪されなければならない。
1月19日の記者会見において高市首相が述べた「国の根幹に関わる重要政策の大転換」とはなにか。それは中国敵視政策の持続と深化、中国を仮想敵国とする戦争の準備、それによる国民生活のさらなる窮乏化、軍事費GDP比3.5%・年21兆円とも言われるアメリカの要求を丸呑みする財政破綻の政治にほかならない。
高市政権の政策合意は、「憲法9条改正」に加えて、「緊急事態条項」に関する「両党の条文起草協議会」を設置し、同条項の条文案の「2026年度中の国会提出」を目指すこと、衆参両院の憲法審査会に「条文起草委員会」の常設などを明記して、明文改憲の企みを露わにしている。また、反撃能力(敵地攻撃能力)をもつ長射程ミサイルの整備と陸上展開先の着実な進展を進めるとし、「安保3文書の前倒し改定」、「武器輸出を認める5類型の撤廃」、「防衛産業の国営化」、「原子力潜水艦の保有」を狙っている。
高市政権は、こうした大軍拡を支えるため防衛費GDP比2%への増額の2年前倒しを2025年度補正予算で実現させた上に、12月に閣議決定した2026年度予算案は、9兆円を超える防衛費で大軍拡のさらなる推進を企んでいる。その一方で医療費4兆円削減、病床数11万床削減ほか社会保障の大改悪を行おうとしている。
また、いわゆる「スパイ防止」法に関しては、2027年度末までに「対外情報庁」(仮称)と情報要員養成機関の創設、「インテリジェンス・スパイ防止関連法制」の年内検討開始と早急な成立、内閣情報調査室の「国家情報局」への格上げによって、「スパイ防止」の名目で市民に対する監視体制を強化して、戦争国家体制をより一層固めようとしている。
これらの反憲法的な政治を強行するために、自民・維新の与党は、衆議院の議員定数を45削減する法案を25年の臨時国会に提出したが、政治と金の問題を議員定数問題にすり替えていると批判され、他の政党・会派からも賛同を得られず審議入りを果たせなかった。しかし、自民・維新は、選挙後の国会での実現を虎視眈々と狙っている。
憲法9条の破壊と大軍拡、明文改憲を強引に推進しようとする高市政権を倒し、憲法を守り生かす政党の前進と高市政権に代わる政権の実現に向けて、すべての人々が手を携えるべき大切な選挙がまもなくやってくる。私たち改憲問題対策法律家6団体連絡会は、そのために全力を尽くす決意をここに表明する。
以上