日本民主法律家協会

ロシアのウクライナへの軍事侵攻に強く抗議し、ロシア軍の即時撤収を訴える声明

2022年3月4日

日本民主法律家協会
理事長 新倉  修
事務局長 大山 勇一

 本年2月24日、ロシア連邦軍はウクライナに対し軍事侵攻を行い、ウクライナ東部地域、首都キエフ周辺での戦闘が現在も続いている。これにより、報道によれば、子どもを含む2000人以上の民間人が死亡し(3月2日時点。ウクライナ非常事態庁発表)、軍事施設のみならず、軍事目標としてはならない病院や市民の住宅が破壊された。これは、あきらかにジュネーブ諸条約違反であり、それ自体が戦争犯罪に当たる。
 ロシアのプーチン大統領は、自衛権行使と強弁しているが、そもそもNATO(北大西洋条約機構)諸国もウクライナ自身もロシアに対する武力攻撃を行っていない。また、ロシアが国家承認をし、「友好相互援助条約」を結んだ「ルガンスク人民共和国」及び「ドネツク人民共和国」に対するウクライナの攻撃に対する反撃であって、集団的自衛権の行使に当たるという主張も、根拠がない。むしろ、ロシアの武力行使は国連憲章2条4項の「武力行使禁止原則」に明白に違反する。これらの一連の軍事行動は、ローマ規程(国際刑事裁判所規程)に定める「侵略犯罪」に該当するものである。
 いま世界各国で即時停戦とロシア軍の撤収を求める世論が巻き起こっている。またロシア国内でも多くの市民や著名人などが抗議の声をあげている。私たち日本民主法律家協会も、平和と基本的人権を擁護する立場から即時停戦とロシア軍の即時撤退を強く訴える。
 同時に、日本政府は、今回の事態に便乗しての改憲論や軍拡論に追従するのでなく、日本国憲法前文に掲げる恒久平和主義の理念の立場から、真に求められる平和的手段による国際紛争の解決に尽力するべきである。私たち日本民主法律家協会は、合わせてこのことを強く訴えるものである。

 

以上