ひろば 2016年12月

 「市民+野党共闘」の前進で、来年こそ安倍政権の打倒を


 激動の2016年もあとわずかとなった。来年はどんな年になるだろうか、出来るだろうか。  本当に、今年は激動の1年だった。相変わらずのテロ事件の多発、英国のEU離脱、トランプの米国大統領当選、韓国大統領の弾劾、中国の南シナ海での覇権主義的攻勢等々。日本では、7月参議院選挙、その後の戦争法の強行実施(南スーダン派遣自衛隊への「新任務」付与等)沖縄での米軍基地建設の強行等々。そして来年は早々に総選挙がありそうだ。来年は今年にも増して激動の年になるだろう。日米安保体制や日米の経済関係もトランプ政権によりかなりの影響を受ける可能性がある。自分が今まさに歴史の節目に生きていることを感じる。  今年の参議院選挙では、改憲派の3分の2を許す結果となった一方、未だ未成熟であったとはいえ「市民+野党共闘」の力の可能性が示された。来年こそは、安倍政権を退陣に追い込みたい。そしてそれは、より成熟し発展した市民+野党共闘を現実のものとできれば十分に可能なことを、参議院選挙とその後の新潟知事選挙等の結果が示している。  市民+野党共闘の成熟・発展のためには中央での運動のみならず、全国各地、それぞれの地域での、立憲野党共闘の背中を押す市民世論、運動の発展が不可欠である。  私が在籍する東京南部法律事務所の地元の大田区でも、その取り組みが重ねられてきている。大田区では、一昨年7月以来、「戦争法廃止オール大田実行委員会」を結成。大田区内でそれぞれに活動をしてきた多くの団体や個人が集まり、「戦争法廃止」の一点で共同の行動(2000万人署名、街頭宣伝等)に取り組んできた。この会は、弁護士9条の会・おおた(大田区に在住または在勤の弁護士で組織)が呼びかけて作られた。事務局団体は、戦争させない1000人員会東京南部、憲法改悪反対大田区共同センター、怒れる女子会@大田と弁護士9条の会・おおたである。この取り組みの中で、少し前ならおよそ考えられないような組み合わせでの親しい共闘関係が生まれ、中心的に関わっているそれぞれが変わってきている。  この「オール大田」では、参議院選挙での野党の共闘を進めるよう、昨年1月には5野党の本部に、4月には衆議院東京3区および4区の地元の各野党に要請をし、2月には、民主党小川議員、日本共産党小池議員、維新の党初鹿議員の参加を得て(社民党福島議員、生活の党と山本太郎となかまたち達の小沢議員と山本議員からはメッセージ)、蒲田駅前で「野党は共闘」「2000万人署名成功」の街頭宣伝を行い、約800名の市民の参加で大きな盛り上りを造り出した。  衆議院選挙に向けても野党共闘を進めるべく、政党本部等へ要請するとともに、昨年5月に市民と大田区の全野党(民進、共産、社民、生活者ネット、新社会 他)の懇談会(第1回)を企画し、本年11月には第3回を持った。面白いのは、当然のことかもしれないが、1回目より2回目、2回目より3回目と、より忌憚のない意見が交わされるようになり、また、お互いの考えていることを直接聞き、話し合うことにでお互いが理解され、信頼感が増して、共闘の条件の深まりが感じられることである。この3回目の懇談会では、市民の側から、「出来るだけ早い時期に、市民から見える形で統一候補選びをしてほしい」「しっかりとした共闘態勢つくってほしい」「戦争法廃止、憲法改悪阻止とともに、生活に密着したより豊かな共通政策をすりあわせてほしい」「政策協定を、出来るだけしっかりと、市民運動も含めて結べるようにしたい」といった意見が出された。こうしたことが進められれば、4区での立憲野党の統一候補の勝利は十分に可能であることは、今年7月の都議補選の結果が示している。  2017年を少しでも良い年に出来るよう、来年も野党共闘の背中を押すべく、大田の地域での活動をして行きたい。それぞれの持ち場でがんばりましょう。

(弁護士 海部幸造)


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