●法と民主主義4月号
4月号・bS67号の発行にあたって。
政局は、あいかわらず、混迷の中、消費税増税と社会保障改悪の「一体改革」の本質を隠し、国民に押し付けるために、巨額の宣伝費を注入していることが報道されています。このような時期に、「法と民主主義」では、まさに時宜にかなった特集●総批判「社会保障と税の一体改革」の企画を組むことができました。
今号の特集は、まずは、二宮厚美先生と渡辺治先生による「社会保障と税の一体改革の政治・経済学」と題する対談にはじまり、この「一体化改革」の基本的性格とその特徴について経済評論家の熊澤通夫先生にお書きいただきました。また、浦野広明先生、阿部徳幸先生、菅隆徳先生からは、法人税引き下げと消費税引き上げなど税制構造をさらに大企業負担の軽減を図るこの「一体改革」の税制面でのまやかしをあきらかにしていただきました。そして、年金問題は公文昭夫先生に、子ども・子育て新システムの問題点については浅井春夫先生に、医療制度については伊藤周平先生に、介護問題は岡崎裕司先生に、貧困・格差問題は相野谷安孝先生に、それぞれするどい批判とともに、その本質をお書きいただきました。そしてまた、社会保障費の抑制とともに、介護や保育などの市場化・営利化を図る目的で導入が検討されている「共通番号制度の狙い」については、黒田充先生にお書きいただきました。
総批判の名に値する、各方面からの問題提起をいただき、「一体改革」の危険性が明らかにされた特集ができあがりました。
「社会保障と税の一体改革」が、320億円もの政党助成金には手をつけず、富裕層や大企業にし年回1.7兆円もの新たな減税をしながら、消費税大増税を目論み、他方、老齢年金、生涯年金の給付削減や年金支給開始の先延ばしなどの社会保障給付の削減に止まらず、子ども子育て新システム、地域包括ケアシステムなど、社会保障に対する国の責任を回避し、地域・民間に丸投げする新たな構造改革手法をうちだしています。どちらの面から見ても、復旧・復興に向けて、生活と生業の再建に立ちあがろうとする大震災と原発事故の被災地の人々に冷水を浴びせる冷酷な政策であることは、どうごまかしても明らかな事実です。
この特集が、今、「社会保障と税の一体改革」の政策の本質に気付き、立ち上がり、反対運動を広めている人々をはじめ、多くの方々に役立つことを願っています。
また、特集以外では、裁判員裁判の3年後の見直し時期を前にして、裁判員裁判の「開示制限」制度の問題点を五十嵐二葉先生に、多数決で死刑判決を決めた光市事件の最高裁判決については、弁護団の足立修一先生にお書きいただきました。とっておきの一枚は、東京大空襲・戦災資料センターの館長をつとめられている、作家の早乙女勝元氏の登壇です。そして、海外のメディアから注目をあびている、くの字に誘導路を曲げさせた百里基地の農民の闘いを、池田眞規先生からの投稿で紹介することができました。
時評は、「原発バイバイ」のCM放映の打ち切りをみとめた裁判所を重哲郎先生は「裁判所は国策の番人か」と批判しています。そして、この頃少し元気な当協会の諸活動を澤藤統一郎先生が「風」の欄で紹介しています。
今号も、沢山の方々のご協力で、生み出すことかできました。ありがとうご゛さいました。ぜひ、お買い求めいただけますよう、お待ちしています。
「法と民主主義」編集委員会
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