No.41の記事

感動的な法廷

本日は、東京地方裁判所101号大法廷で、10時から16時30分までの予防訴訟証拠調べ。感動的な法廷だった。裁判官も、血の通った人間。心動かされるところがあったに違いない。そうでなくては、法廷を開く意味がないではないか。そう思えるほどの充実した法廷であった。

午前中に都立高の元校長が証言した。「10・23通達」を受け、心ならずも「職務命令」を発令し、都教委の意向に従った卒業式を挙行した校長。その経過を淡々と詳細に証言された。この方、退職者ではない。卒業式のあと、自ら意思で降任して、現在は平の教諭だが、まだ現役。原告・弁護団の求めに応じて、よくぞ証言台に立っていただいた。世に「心ある人」は健在なのだ。

証言内容には、米長邦雄が教育施策連絡会の席上「都は教育基本法を事実上改正した。ものすごい決意で教育改革に取り組んでいる」との発言あったことも含まれていた。この人に、いささかなりとも都教委の嫌がらせなどがあれば、総力をあげて反撃しなければならない。

次いで、第4次提訴者の中から、2名が意見陳述。国際高校と七生養護学校の先生。二人とも、理不尽な都の教育行政を、ご自分の言葉で、見事に批判された。現場にあればこその、現場で真面目に教育に携わっておればこその迫力と説得力。

そして午後は、401名の原告の中から、7名の方が原告本人尋問に立った。それぞれ、どうして「日の丸・君が代」を受け容れがたいのか。どうして強制には応じがたいのか。さりながら、自分の信念を貫くことがいかに困難な状況になっているのか。40秒間の国歌斉唱時に、不起立を貫くことの迷いと負担、そして心ならずも起立してしまうことによる喪失感、屈辱感‥。ピアノ伴奏を強制される音楽科教員の深刻な悩み‥。

「今まで書物でしか理解していなかったが、これが現実のファシズムというものかと実感した」という証言があった。「たいへんな時代になった」「憲法も、教育基本法もなくなったのか」とも語られた。あらためて思う。今、大きな時代の岐路に立っているのだと。そして、この事件のずっしりした重みを。

真面目な教師であればこその悩み、教員としての良心を有するがゆえの葛藤。ここには、良質な教師、真っ当な人間の声がある。石原や米長の輩よ、法廷の片隅で、この魂の声を聞け。

予防訴訟の次回法廷は2月6日(月)、堀尾輝久教授の証言で、証拠調べは終了。あとは、手続き手の整理と、3月20日(月)に最終準備書面を陳述して結審となる。歴史的な判決は来夏となろう。