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ひょうひょうと粘り強く

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 税理士の奥津先生はいつもひょいひょいと歩いている。頑固でめげない。私が乱暴でいい加減な意見やみょちくりんな論理を展開すると困ったような顔をして「そうなんです。日本の税制がおかしいんです」と締めくくる。 事務所の節ちゃんは経理通。お金のことならぴぴっと何でもわかる。「通帳を見ているとお金の動きが面白い」なんていうのである。私は頭が痛くなるだけである。2人で事務所経理システムの打ち合わせをしていた。

 側に寄って行って、「雑食日記読んだ」とじゃまする私。はっきりしない答えの奥津先生に隣のパソコンを立ち上げページを開き、いつもの強要を始めた。困る奥津。「今度見ますから」と言っても解放されない。「このティーカップはベトナムで100円で買ったのよ」「ベトナムにはよい陶磁器がありますからね」おっとわかっているじゃない。100円を誉めないのが不満だけど許してやる。

 今2人は「弥生経理」システムで預金の何とかということをやっているらしい。このシステムの名前を覚えられない私は何度注意されても「弥勒」と言い続けている。「どうしてみろくなの」自分でもわからないのよ。最初の字が同じだからかしら。今ではだれも注意さえしない。完全に見捨てられている。

きっと弥勒菩薩のようにやさしく経理を処理してもらいたいと思っているからなのである。その私にむかって「佐藤先生にも経理を理解してもらわないと」と断固言う奥津先生である。それはだめですから。