JDLAトップへトップへ日本民主法律家協会 第52回定時総会決議

改憲を阻止する国民的共同づくりに向け、立ち上がろう

 2012年衆議院選挙における自民党の大勝を承けて誕生した安倍政権は、先日行われた参議院選挙でもいわゆる「ねじれ」を解消し、そのねらう政治の実現のため本格的に動き出した。
 安倍政権の目指すものは、第1に、社会保障制度のさらなる解体、消費増税、雇用破壊やTPP参加を主軸とする規制緩和を柱とする新自由主義改革であり、第2に、普天間基地の辺野古移転強行、集団的自衛権の行使の容認などの解釈改憲による日米軍事同盟の強化、第3に、歴史の「見直し」、教育再生など、新自由主義改革と戦争のできる国家体制の基盤となる国民統合である。
 これら課題の集大成として安倍政権が政権の最重要課題と位置づけ是が非でもその実行をめざそうとしているのが、憲法の改悪である。
 消費税率は、来年4月に8%、2015年に10%に上げる予定であり、8月上旬には政府の社会保障制度改革国民会議が医療、介護、年金などを削減する「改革」を打ち出そうとしており、アベノミクスのねらいがいよいよ明らかになる。
 また、安倍政権は、TPP交渉参加と原発再稼働を強行しようとしている。TPPへの参加は、外国の投資家の利益のために国の主権を売り渡す危険を孕んでおり、農林水産業に壊滅的な被害をもたらし、震災復興に悪影響を与えるばかりか、食品安全、医療、雇用、社会保障など国民生活のあらゆる分野に致命的な打撃を与える危険がある。交渉の行方を明らかにさせ、理不尽な協定を認めない闘いが必要である。
 なかでも、私たちがもっとも重視しなければならないのは、安倍政権がその集大成として、解釈改憲と明文改憲を本格的に進めようとしていることである。安倍政権は、この秋にも首相の私的諮問機関である安保法制懇に集団的自衛権の行使容認の提言を出させ、この解釈変更を、年末の「防衛計画の大綱」改訂、さらには、来年通常国会での国家安全保障基本法案などで強行しようとしている。
 同時に、明文改憲については、改憲案の発議要件となる衆参両院の「3分の2以上」の改憲勢力の結集をはかりつつ、憲法審査会で、18歳以上の国民投票参加をはじめとする「宿題」の具体化を通じて、改憲世論の盛り上げをはかろうとしている。自民党の改憲構想は、基本的人権の尊重、恒久平和主義、国民主権の基本原理を根底から覆そうとするもので、絶対に許してはならない。
 このような安倍政権の政治を前に、日民協の役割は極めて重大である。
 原発問題、雇用問題、普天間基地撤去、オスプレイ配備反対運動、改憲反対の運動など、いずれの課題でも、国民の共同をめざし法律家運動はすでに大きな役割を果たしつつある。
 しかし、いま、私たちには、さらに大きく重い課題が突きつけられている。安倍政権の政治の本丸である改憲を阻むという課題であり、そのための国民的共同を構築するという任務である。日民協は、その第一歩として、改憲を阻むという一点で、いまだかつてない規模で広範な法律家の共同をつくり、国民的共同づくりのイニシアティブをとらねばならない。
 国民の利益と日本の未来にとって重大な岐路に立つ今、憲法改悪を阻むため、法律家諸団体の連携の要として、幅広い法律家諸団体の結集する法律家の連合をつくるため、日民協は、全力をあげて取り組むことを、本総会の名において表明する。
 右決議する。

2013年7月27日

日本民主法律家協会第52回定時総会



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