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 敗訴者負担制度問題解説  

このページは、弁護士報酬の敗訴者負担について解説しています。
日民協は「敗訴者負担制度」に反対の立場をとっています。皆さんの運動へのご参加、ご協力をお願い致します。
弁護士報酬の敗訴者負担に反対する全国連絡会
●初版はこちら

敗訴者負担制度問題の概要

NEWSボード
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   

Q1:「弁護士報酬の敗訴者負担制度」とは?

A1:
裁判で負けた方に、勝った方の弁護士報酬(の一部)を支払わせる制度です。
 例えば、あなたが裁判を起こしたとき、勝てば相手方から弁護士報酬(の一部)が回収できますが、負けた場合には相手方の弁護士報酬(の一部)を支払わなくてはならない、という制度です。
 この制度のもとでは、裁判を起こすにあたって、負けたときに相手方の弁護士報酬(の一部)を支払うことを覚悟しなくてはなりません。


Q2:具体的にどのような制度がつくられようとしているの?

A2:
政府は「裁判上の合意による敗訴者負担」という形で法案を提出しました。
 この「裁判上の合意による敗訴者負担」は、裁判が起こされた後に、原告と被告の双方が合意をした場合に、「敗訴者負担制度」を適用しようというものです。
 あなたが裁判を起こしたとき、相手方との間で「敗訴者負担の合意」をしなければ(この制度による)「敗訴者負担制度」は適用されません。相手方との間で「敗訴者負担の合意」ができた場合に、「敗訴者負担制度」が適用されることになります。
→司法制度改革推進本部が提出した法案の内容
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/sihou/houan/040302/minji/houan.pdf


Q3:どうして「裁判上の合意による敗訴者負担」が出されてきたの?

A3:
「敗訴者負担」反対の声が高まる中、導入推進派が何とか制度導入を図ろうとして持ち出してきたものです。
反対署名が100万筆を大きく超え、意見募集に寄せられた5,134件の意見も圧倒的多数が反対意見で占められました。「敗訴者負担」反対運動が国民的に大きく広がった中で、推進派は何とか「敗訴者負担」と名の付く制度を導入し、将来の本格的導入へつなげようとしているのです。


Q4:この制度を導入する目的は何?

A4:
制度導入の目的は説明がつきません。これは「裁判上の合意による敗訴者負担」の致命的欠陥です。
 「敗訴者負担」は、「裁判所へのアクセスの拡充」という目的と「当事者間の公平」という目的を巡って、従来議論が行われていました。しかし、この「裁判上の合意による敗訴者負担」は、「裁判所へのアクセスの拡充」にもなりませんし、「当事者間の公平」の目的にも合致しません。制度導入の目的について、合理的説明ができないのです。


Q5:「裁判上の合意による敗訴者負担」にはどんな弊害があるの?

A5:
「契約上の敗訴者負担条項」が広がることにより、労働者や消費者が裁判を起こしにくくなってしまいます。
 現在、労働契約や消費者契約等において「敗訴者負担」が盛り込まれることは行われていません。
 しかし、今回「裁判上の合意による敗訴者負担」という制度ができることにより、労働契約や消費者契約に「契約上の敗訴者負担条項」が広がることが心配されています。就業規則や消費者契約約款にこのような条項が盛り込まれると、労働者や消費者は相手方の弁護士報酬の負担を心配しなくてはならず、裁判を起こすことが難しくなってしまいます。
 「裁判上の合意による敗訴者負担」の合意は拒絶出来ても、「契約上の敗訴者負担条項」により、「敗訴者負担」を強いられることになってしまうのです。
 また、これまで損害賠償請求の裁判では、弁護士費用を損害の一部として請求することができましたが、今回の制度が導入されることにより、これが認められなくなるおそれがあるという弊害も、指摘されています。


Q6:政府の検討会の議論はどうなっているの?

A6:
司法アクセス検討会は「裁判上の合意による敗訴者負担」でとりまとめを行いましたが、とりまとめに際しては多数の委員から「契約上の敗訴者負担条項」の弊害は問題であり何らかの対処が必要であるとの意見が出されました。
 しかし、こうした重大な弊害への対処がされないまま、「裁判上の合意による敗訴者負担」が導入されようとしているのです。
→第22回司法アクセス検討会議事概要
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/sihou/kentoukai/access/dai22/22gaiyou.html


Q7:弁護士会や市民団体は「裁判上の合意による敗訴者負担」についてどう言っているの?

A7:
市民団体や法律家団体の多くが、「裁判上の合意による敗訴者負担」の導入に反対し、法案の廃案を求めています。
 日本弁護士連合会も、「裁判所へのアクセス」を阻害する敗訴者負担制度の導入に反対するとの立場を堅持し、労働契約・消費者契約・格差のある当事者間における「契約上の敗訴者負担条項」を無効とする措置を取ることを求め、かかる措置が行われない場合には法案を廃案とすることを求めています。
→日本民主法律協会の意見書
http://www.geocities.co.jp/WallStreet-Stock/4652/ikensyo/dantai/nichiminkyo031222.html
 弁護士報酬の敗訴者負担に反対する全国連絡会の意見書
http://www.geocities.co.jp/WallStreet-Stock/4652/ikensyo/dantai/zenkokuren031212.html
 自由法曹団の意見書
 http://www.jlaf.jp/iken/2003/iken_20031222_03.html
 http://www.jlaf.jp/iken/2003/iken_20031213.html
 http://www.jlaf.jp/iken/2003/iken_20031118.html
日本弁護士連合会の意見書
 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/sihou/kentoukai/access/dai22/22siryou4.pdf
 また、司法制度改革推進本部は2003年夏、敗訴者負担についてのパブリックコメントを集めました。これは「合意による敗訴者負担」の構想が出される前のものですが、敗訴者負担についての問題点を指摘する具体的な声が多く寄せられています。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/sihou/kentoukai/access/dai19/19siryou1.pdf
 さらに、日本弁護士連合会は2004年夏、敗訴者負担法案に関するパブリックコメントを集めました。近く集計結果が公表される予定です(発表され次第、ニュースボードに掲載します。)。


Q8:制度の導入をさせないためには、どうすればよいの?

A7:
国会議員や司法制度改革推進本部事務局に制度導入反対の声を上げていくことが大切です。
 政府は通常国会に法案を提出してきました。国会議員や司法制度改革推進本事務局に反対の働きかけを行っていくことが重要です。


政府(諮問機関)における検討経過

2000年11月20日司法制度改革審議会中間報告。〜敗訴者負担制度導入の検討が示された。
2001年6月12日同審議会最終報告。〜司法アクセスの項目のなかで、敗訴者負担制度について答申。
2002年12月1日司法制度改革推進本部設置。〜敗訴者負担問題は司法アクセス検討会の検討事項とされた。
2002年6月27日第6回司法アクセス検討会。〜敗訴者負担問題について頭出しの議論。
2002年11月28日第11回司法アクセス検討会。〜敗訴者負担問題の本格議論始まる。
2003年1月29日第12回司法アクセス検討会。〜このときから議事録に発言者名が公開されるようになった。(この時以前は非公開。)
2003年3月10日第13回司法アクセス検討会。〜日本弁護士連合会が敗訴者負担問題についてプレゼンテーション。
2003年4月15日第14回司法アクセス検討会。
2003年5月30日第15回司法アクセス検討会。
2003年6月20日第16回司法アクセス検討会。
2003年7月23日第17回司法アクセス検討会。
2003年9月19日第18回司法アクセス検討会。
2003年10月10日第19回司法アクセス検討会。
2003年10月30日第20回司法アクセス検討会。
2003年11月21日第21回司法アクセス検討会。
2003年12月25日第22回司法アクセス検討会(「裁判上の合意による敗訴者負担」に よるとりまとめ)。
★なお、第15回以降の司法アクセス検討会の議事は、NEWSボードにも速報が掲載されています。

おもな反対運動の経過

2001年1月27日「弁護士報酬の敗訴者負担に反対する全国連絡会」発足
2002年9月10日「全国連絡会」の主催で、「みんなでとめよう弁護士報酬の敗訴者負担制度」が開催。(250名の参加)
2002年9月20日日弁連が弁護士報酬敗訴者負担問題対策本部を設置。
2002年10月11日日弁連人権大会で「司法アクセスを阻害する弁護士報酬の敗訴者負担に反対する決議」を採択。
2002年11月22日日弁連集会「『行列のできる法律相談所』の弁護士もやってくる。弁護士報酬の敗訴者負担に反対する集い」を開催。(800名の参加を持って成功)
2003年1月27日日弁連の呼びかけで敗訴者負担問題に関する各界懇談会(第1回)が開催。
2003年1月29日「全国連絡会」主催で「1・29弁護士報酬の敗訴者負担に反対するデモ行進」(250名+30名)、「市民から裁判の権利を奪うな・院内集会」(150名)。
2003年3月8日「全国連絡会」主催で「市民から裁判の権利を奪わないで〜敗訴者負担に反対する市民集会2003」(300名)、全国の弁護団・原告団126団体による共同声明。
2003年3月10日「全国連絡会」のよびかけで銀座マリオン前にてリレートークと宣伝行動。
2003年4月8日司法総行動実行委員会が新日鐵本社前で宣伝行動。「全国連絡会」と司法総行動実行委員会が東大前で宣伝行動。
2003年5月30日日弁連1000名パレード
2003年6月11日日弁連「弁護士報酬の敗訴者負担問題研究討論会」。
2003年6月20日日本司法書士会連合会が一般的敗訴者負担制度導入反対の決議。
2003年7月28日「全国連絡会」「司法総行動実行委員会」が、シンポジウム「徹底検証、司法アクセス検討会」を開催。(各団体から約80名が参加)
2003年10月23日日弁連「市民を裁判からしめだす弁護士報酬の両面的敗訴者負担制度に反対し、市民が利用しやすい裁判制度を求めるシンポジウム」。
2004年2月10日「全国連絡会」が国会議員要請。
2004年2月24日「全国連絡会」主催「敗訴者負担法案の導入に反対する市民集会」。(市民・国会議員140名が参加)
2004年5月20日日弁連「このままでは合意による敗訴者負担の導入湯を許さない市民集会」。(市民・弁護士・国会議員約300名が参加)
2004年7月21日「全国連絡会」「風の会」「司法総行動」共催「敗訴者負担法案の廃案をめざす決起集会」(約50団体が参加)
2004年9月15日「全国連絡会」「風の会」「司法総行動」が国会要請
2004年9月28日日弁連「このままでは廃案を求める市民集会」

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資料


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