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06.04.25口頭弁論期日

 4月25日、東京地裁で口頭弁論期日が開かれ、原告代理人らから口頭で意見陳述等がなされました。

 国が行っている時効の主張に対しては、原告代理人平井弁護士は、次ぎのように意見を述べました。

「 被告は、帰国時から3年以上経過して訴えが提起されている本件では消滅時効が完成している旨主張している。
 しかし、原告らは、幼少のころに中国大陸に置き去りにされ、長年にわたりかの地で生活することを余儀なくされたために、母国語を忘れ、あるいは習得できず、なぜ自分がながらく帰国できなかったのかも知ることなく生育したのである。そして、帰国に際しても、なぜ帰国がこんなにも遅れることになったのかについて、国の施策の遅れによるものであるとの説明を受けたこともない。また、帰国時において日本語による会話が支障なくできた者など皆無であったのであり、自ら帰国の遅れの原因を調べる術ももたなかったのである。いったい、このような状態でどうやって『賠償請求が事実上可能な状況の下に,その可能な程度において損害及び加害者を知る』ことができたというのであろうか。
 したがって、帰国してから3年で消滅時効にかかっているなどという被告の主張は、まったくもって現実を無視した主張であり、失当というほかない。
 しかも、原告らは、被告の長年にわたる政策の不備により損害をこうむったのであり、被告は、残留邦人の存在の報告を受けながら、戦時死亡宣告制度の創設など棄民とも評すべき積極的な施策もとって原告らの帰国の遅延を招いたのであり、かかる被告が消滅時効を援用するのは権利の濫用というべきである。
 したがって、被告は、かような失当な主張を撤回すべきである。そして、被告が自ら撤回をしないのであれば、裁判所としては、かかる時機に遅れ、かつ権利を濫用した主張は却下すべきである。」

 残すところ、東京訴訟の口頭弁論期日は、5月24日(午後1時30分〜)の1期日となりました。訴訟もいよいよ大詰めです。引き続いてのご支援をお願い致します。

※2006年2月21日証人尋問
http://www.jdla.jp/cgi-bin04/column/zan/diary.cgi?no=140
※2005年12月22日原告本人尋問
http://www.jdla.jp/cgi-bin04/column/zan/diary.cgi?no=125
※2005年11月8日原告本人尋問
http://www.jdla.jp/cgi-bin04/column/zan/diary.cgi?no=113
※2005年8月31日原告本人尋問
http://www.jdla.jp/cgi-bin04/column/zan/diary.cgi?no=91
※2005年6月1日口頭弁論(弁論更新手続)
http://www.jdla.jp/cgi-bin04/column/zan/diary.cgi?no=43