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不当判決に抗議する

              2005年7月6日

  抗議声明

中国「残留日本人孤児」国家賠償大阪訴訟の不当判決について

       中国「残留孤児」国家賠償訴訟原告団全国連絡会
       中国「残留孤児」国家賠償訴訟弁護団全国連絡会
          
 本日、中国「残留日本人孤児」国家賠償大阪訴訟について、大阪地方裁判所第8民事部において判決が言い渡された。
 全国15の地方裁判所で、2000名を超える「残留日本人孤児」が原告となり提訴している事件の中で、はじめての司法判断である。
 大阪地方裁判所は、中国「残留日本人孤児」が求めていた国の賠償責任を認めず、原告らの請求を棄却する判決をくだした。
 この判断は、「残留日本人孤児」が強いられた苦難の人生と日本に帰国後、普通の日本人として人間らしく生きていくことが困難となっている「残留日本人孤児」たちの生活の実態を無視し、司法の救済を放棄した不当な判断である。
 この判決は、早期帰国実現の義務は認めながら、その義務違反は日中国交回復後に長期にわたり遅延が続いた場合に限定し、違反は認められないとした。しかし、判決も認める早期帰国実現義務は、戦後国が一貫して負ってきた義務であり、戦時死亡宣告制度制定後、国はその義務を誠実に履行してこなかった。判決はこの点を看過したものである。
 また判決は、中国「残留日本人孤児」が負わされた被害を「戦争被害一般」として切り捨てた。私たちが救済を求めているのは、中国「残留日本人孤児」の戦争自体により受けた被害ではなく、戦後日本への帰国があまりに遅れ、帰国後の生活自立が困難となった深刻な戦後の被害である。
 「残留日本人孤児」たちは、1回目は敗戦時に国に棄てられ、2回目は戦時死亡宣告制度などによる帰国政策放棄により棄てられ、そして3回目は帰国後、冷たい政策により国に棄てられた。そして、この司法の判断は、孤児たちを4回目に国が棄てさる非情な判決といわざるをえない。
 私たちは、国民の人権侵害を救済する役割を担う司法が、その責任を放棄したものとして、この判決に対して、強く抗議するものである。
 私たちは、正当な判断を求めて、高等裁判所に控訴するとの現地原告団、弁護団の方針を強く支持するとともに、全国15地裁で展開されている原告団や弁護団が力をあわせて、国の責任を認める判決を獲得するまで闘い続けることを表明する。
 私たちは、本日の大阪地方裁判の判決にかかわらず、政府が、「残留日本人孤児」たちが悲惨な生活実態に置かれていることを直視し、「残留日本人孤児」に対する施策を抜本的に転換し、「孤児問題」の全面解決を図るよう要求する。
 第1に、国の責任を認めて謝罪すること、第2に、国の責任において「残留日本人孤児」の生活保障を行うことを法に明記し、「残留日本人孤児」を対象とした新たな給付金制度を創設することなど、私たちが要求する全面解決要求事項について、政府が原告団、弁護団との間で早急に協議するよう求める。