ひろば 2017年8・9月

 憲法施行七〇周年 安倍改憲との最終ゴング鳴る


安倍首相は、本年1月20日の施政方針演説で、「次なる70年に向かって、日本をどのような国にしていくのか。その案を国民に提示するために、憲法審査会で具体的な議論を深めようではありませんか。」「日米同盟こそがわが国の外交・安全保障政策の基軸である。これが不変の原則です。」と訴えました。そして、5月3日には、改憲を訴える集会のビデオメッセージの中で、「憲法9条1項2項は残し、憲法に自衛隊を明記する」という改憲案を提起し、「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」とする決意を示しました。

改憲問題対策法律家6団体連絡会の前身は、2013年の日民協の夏合宿での討議を経て、衆議院での秘密保護法審議の真っただ中、2013年10月に立ちあげられました。当時の渡辺治理事長が、安倍改憲を阻む法律家共同の闘いは「長期ではないが、そう短期でもない闘い」と言われたことを、今更ながら噛みしめています。いよいよ、安倍改憲との最終決戦のゴングが鳴りました。

改憲問題対策法律家6団体連絡会では、安倍首相の9条に自衛隊を明記する改憲案を受け、7月13日に、高見勝利先生の講演学習会「安倍首相の提案とどう向き合うべきか──憲法改正要否の基本ルールとの関連で」を開催し、8月12?13日には、飯能で緊急合宿を行い、山内敏弘先生、浅井基文先生、高田健さんを講師にお迎えして熱い議論をかわしました(2日間で延べ参加者63名)。以上は本紙で特集しておりますので、是非お読みください。

1950年代から始まるアメリカ主導の改憲策動を経て、冷戦後90年代以降と第2次安倍政権以降の憲法無視・立憲主義・民主主義を踏みにじるすさまじい壊憲・改憲策動の中、今、私たちは、最終岐路に立たされているのだと思います。これを過ぎると後戻りできない歴史の岐路に。

日本会議流の安倍改憲案に抗するために、今こそオール法律家の共同が喫緊の課題です。彼らの狙う「護憲派」分断の術にみすみすはまるわけにはいきません。そのためにも、自衛隊の存在を9条に明記するという改憲が、現状維持のソフトな加憲などという代物ではく、憲法の平和主義の原理を根底から覆し、法理論的にも実際的にも9条を無効化することにつながるものであることを一刻も早く国民に知らせていくことが不可欠です。安倍改憲の先には、軍事・軍隊の論理が、基本的人権の保障や国民主権・民主主義の原理を軽々と凌駕し踏みにじる世界が見えてきます。「北朝鮮」のミサイル・核開発実験が繰り返される中でこそ、憲法の積極的非暴力平和主義の持つ力を日本が堂々と世界に発信することが求められています。

かつてない憲法の危機を前に、今、すべての法律家に安倍改憲に反対するための共同行動を訴えていきたいと思います。「政府の行為によって再び戦争の惨禍を起こさせない」、「軍事力により他国を侵略しない・人を殺さない」という平易且つ揺るぎのない声を広めていきましょう。

(改憲問題対策法律家6団体連絡会事務局長 大江京子)


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