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2007年1月の日記

安倍総理大臣と面談!「新たな支援策」を約束!!

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 1月31日、安倍総理大臣は中国「残留孤児」国家賠償訴訟の原告団代表7名と面談しました。安倍総理大臣は原告の1人1人と固く握手。原告の一人である池田澄江さんは、「残留孤児」が高齢化し、日本語に不十分な中で苦難の生活を強いられている実態を訴えました。これを受けて安倍総理大臣は、「(これまでの「残留孤児」対策に)不十分なところがあった。『残留孤児』と協議しながら『本当に日本に帰ってきたよかった』と思っていただけるように、また、『日本人として尊厳をもてる生活を』という観点から新たな対応を考えていきたい」と述べました。そして、引き続き原告団代表と面談した柳沢厚生労働大臣も、新たな支援策を今年の夏までに行うと述べました。

「残留孤児」は高齢化の一途を辿っており、解決をのんびり待っている時間はありません。わたしたちは、日本政府に対し、安倍総理大臣と柳沢厚生労働大臣が約束した「新たな支援策」について、以下の観点を踏まえた、内容ある具体的制度を早期に実現するよう強く求めます。

(1)「残留孤児」たちが戦後60年以上にわたって侵害され続けた人間の尊厳を回復すること
(2)言葉の障害や高齢化などに伴う経済的困窮から脱却し、医療介護を含め老後の生活の安定を図ること
(3) 社会から疎外され、孤立している状況から脱却すること

不当判決(弁護士会会長声明・談話)

中国残留孤児国家賠償請求訴訟東京地裁判決に対する会長談話(東京弁護士会)

 本日,東京地方裁判所は,いわゆる中国「残留孤児」国家賠償関東訴訟において,国の「早期帰国実現義務」,「自立支援義務」そのものを認めず,原告らの請求を全面的に棄却する極めて不当な判決を言い渡した。
 当会は,1986(昭和61)年10月,中国残留邦人に対し,一時帰国者・永住帰国者に対する対策と中国永住者・即時帰国できない者についての対策という2つの視点から,政府に対し,中国残留邦人に関する要望書を提出した。
 しかし,その後も中国残留邦人に対する支援策が不十分であったことから,2002(平成14)年12月20日,残留孤児40名が,国に対し,早期帰国実現義務違反と自立支援義務違反に基づく損害賠償請求訴訟を起こした。その後も全国各地で同種の裁判が提起され,現在,全国14地裁,1高裁において約2200名もの中国「残留孤児」が原告となり,被害救済を求めて闘っている。また6割を超える孤児が生活保護のもとでの生活を余儀なくされており,原告らの請求は切実である。
 しかしながら,本日言い渡された本判決は,このような原告ら中国「残留孤児」の思いや悲痛な叫びを一顧だにしない,極めて非情で冷酷な判決であった。
 2006年12月1日の神戸地裁は,国の「帰国制限」施策の違法および「自立支援義務」違反を厳しく指摘する判決を言い渡した。同日,安倍晋三首相は「中国残留孤児は高齢化しており,大変な苦労があったと思う。国としてきめ細かな支援をしていかなければならない」とコメントしたものの,実際になされた支援は,わずかに,「中国帰国者あんしん生活支援計画」経費(新規分)4億2400万円の予算増額がなされたのみであり,残留孤児の苦難に満ちた人生に対する政府の措置としては不十分極まりないものであった。
 戦後60年以上が経過し,残留孤児も高齢化が進み,残留孤児が生きているうちに残留孤児問題を解決するためには一刻の猶予もできない。
 当会は,国の責任を否定した本日の東京地裁判決に遺憾の意を表明するとともに,政府及び国会に対し,本日の東京地裁判決を評価するよりも,神戸地裁判決の判断を重く受け止め,引き続きその責任において,残留孤児の老後の生活保障など支援施策の抜本的な見直しや立法措置を行うなどの施策を早急に実現することを求めるものである。

2007年1月30日
東京弁護士会
会 長 吉岡桂輔

http://www.toben.or.jp/whatsnew/webapp/whatsnew/detail/?id_whats_new=671

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 中国「残留孤児」国家賠償請求訴訟東京地裁判決に対する会長声明(第二東京弁護士会)

 第二次世界大戦終戦後、中国に取り残され、帰国した後も困難な生活を送っている日本人「残留孤児」たちが、国に対して損害の賠償を求めていたいわゆる中国「残留孤児」国家賠償請求東京訴訟(1次)において、東京地方裁判所民事第28部は、1月30日、原告らの請求をすべて棄却する判決を言い渡した。
 先に、日本弁護士連合会は、1984年の人権擁護大会において、「中国残留邦人の帰還に関する決議」を採択し、中国「残留孤児」を含む残留邦人の日本国籍取得の手続きを速やかに整備し、早期に日本への帰還を実現すべきことや、自立促進のための特別の生活保障策を速やかに講じることなど、残置された人々の人権を回復すべきことを国に対して求めた。しかし、その後も中国残留邦人に対する国の支援は十分に行われず、2002年12月の東京地方裁判所への本件提訴を皮切りに、永住帰国した元中国「残留孤児」の8割を超す2200人以上が、全国15の地方裁判所に損害賠償請求訴訟を提起する事態となった。
 今回の東京地裁判決は、「国の実質的な植民地政策や戦争政策は高度の政治的判断に基づくものであり、本来司法審査の対象とはならない」「そのような司法審査の対象外とされるべき国の政策を、国の作為義務を発生させる先行行為として取り上げることが相当であるのか疑問」などと述べたうえで、国の「早期帰国実現義務」と「自立支援義務」のいずれの存在も否定し、原告らの請求を全面的に退けた。
 昨年12月、本件と同様の事件について、神戸地方裁判所は「残留孤児」が生じるに至った経緯を具体的に認定したうえで、「戦闘員でない一般の在満邦人を無防備な状態に置いた戦前の政府の政策は、自国民の生命・身体を著しく軽視する無慈悲な政策であったというほかなく、憲法の理念を国政のよりどころとしなければならない戦後の政府としては、可能な限り、その無慈悲な政策によって発生した残留孤児を救済すべき高度の政治的な責任を負う。」として、国に総額約4億6000万円の支払いを命じた。今回の東京地裁判決は、この神戸地裁判決とは対照的に、国の義務を否定することによって中国「残留孤児」の法的な救済の途をとざすもので、人権の砦たる司法の役割に照らし、きわめて問題が大きいと言わざるを得ない。
 神戸地裁判決が指摘するとおり、日中国交正常化後も、「残留孤児」の多くが日本の親族の身元保証を求められるなどの制限措置によって帰国できない状態が続いた。やっと帰国できた「残留孤児」の多くが、日本語の教育を受けられず、就労の機会がないことから経済的困窮に陥っている現状は、深刻である。本件訴訟の原告らの6割以上が生活保護を受けている現実があり、高齢化も進んでいる。当会は、国会と政府に対し、少なくとも永住帰国した元「残留孤児」に対し、医療・住宅など生活全般にわたる支援制度や老後の所得保障制度を早急に整備することを、強く求める。

   2007年(平成19年)1月31日
第二東京弁護士会
会長  飯 田   隆

http://niben.jp/

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「中国残留邦人帰国者」の尊厳回復を求める会長声明(埼玉弁護士会)

 本年1月30日,東京地方裁判所民事第28部は,「中国残留孤児国家賠償請求東京訴訟」について,請求を棄却する判決を言渡した。
1 本判決は,国の「早期帰国を実現する義務」及び「自立支援義務」のいずれも認めず,同種事案の「兵庫県訴訟」における2006年12月1日付神戸地裁判決とは異なり,国の損害賠償責任を認めなかったものである。
2 しかしながら,本判決の原告らを含む「中国残留孤児」や「同婦人」と呼称される人々の人権問題について,日本弁護士連合会は,1984年の人権擁護大会において「中国残留邦人の帰還に関する決議」を採択し,その中で特に,国に対し特別の生活保障等の立法措置を速やかに講ずるよう求め,さらに,2004年3月には,日本政府の任務懈怠により,「中国残留邦人」は,1945年8月の敗戦前後の時期に中国東北部(旧「満州」)に取り残されたまま長年月にわたって中国に「残留」を余儀なくされ筆舌に尽くし難い苦難を被り続けた上,さらに,帰国が実現した後も今日にいたるまで尊厳に値する生活を保障されてこなかったとして,国に対し生活保護によらない特別の生活保障給付金制度の創設等を勧告しているのである。
3 本判決の原告らによる2002年12月の提訴に始まり,この間全国15の地方裁判所に総勢2000名を超える「中国残留孤児」による同種訴訟が提起されている。その中の「大阪訴訟」で請求自体は棄却した2005年7月の大阪地裁判決でも,「中国残留邦人」のうち帰国が実現した人々(以下「中国残留邦人帰国者」)の「多くが生活保護により生活をしている実態は看過することはできない」と指摘されていたのであり,また,上述の神戸地裁判決は,厚生労働大臣の「自立支援義務」の懈怠が違法であるとして国の損害賠償責任を認めたもので,これら判決が示すとおり,中国残留邦人帰国者の生活支援策の策定は国の喫緊の課題といわねばならない。
4 しかるに,この間,政府及び国会は,中国残留邦人帰国者に対する抜本的且つ十分な支援策を何ら具体化することもなかった。本判決後,安部首相は,政府・与党で中国残留邦人帰国者の支援策の拡充を検討する考えを明らかにしたが,厚生労働省は,他の「戦争被害者」支援との均衡を欠くとして難色を示していると報道されている。 
5 当会は,政府及び国会に対し,中国残留邦人帰国者の人権問題は,「戦争被害」によるものというよりも,むしろ「戦後」の内閣及び国会の任務懈怠による被害であること,及び,帰国者の殆どが帰国時点で既に高齢となっており,その残された時間が必ずしも長くないことを真摯に受け止め,直ちに,本判決の原告らを含むすべての中国残留邦人帰国者の人間としての尊厳を回復するため,生活保護によらない特別の生活保障給付金制度等の生活支援に向けた施策策定等を直ちに実現するよう強く求める。

 2007年1月31日
 埼玉弁護士会会長 蔭 山 好 信

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中国残留孤児国家賠償請求訴訟東京地裁判決に対する会長談話(横浜弁護士会)

 平成19年1月30日,いわゆる中国残留孤児国家賠償訴訟について,東京地方裁判所は,「早期帰国実現義務」及び「自立支援義務」そのものを認めず,原告らの請求を全面的に棄却する判決を言い渡した。
 原告ら中国残留孤児(以下単に「残留孤児」という)は,幼くして満州の地に取り残されてから現在に至るまで,約60年間の長きにわたり,日本人であれば当然に有すべき権利を侵害され続け,帰国後も6割を超える残留孤児が生活保護を受給するという悲惨な状況で生活し,さらに,老後の生活にも不安を抱えている。全国には約2500名の帰国した残留孤児が生活しているところ,神奈川県在住の約200名を含む残留孤児が東京地方裁判所へ提訴したのを皮切りに,15ヶ所の地方裁判所に,総数2000名を超える残留孤児が本件と同様の訴訟を提起している。
 ところが,本判決は,原告ら残留孤児の被害の実態から目を背け,日本人としての尊厳の回復を求める原告らの願いを退けた。
 日本弁護士連合会は,1984年の人権擁護大会で,「中国残留邦人の帰還に関する決議」を採択し,残留孤児を含む中国残留邦人の日本国籍取得手続を速やかに整備して早期帰還を実現することや,自立を促進する特別の生活保障をするなどの特別立法を含む諸措置を速やかに講ずることを求めた。また,2004年3月には,人権救済申立を受けて,日本弁護士連合会が国に対して,帰国促進策等の徹底や戸籍回復・国籍取得手続の改善のほか,生活保護によらない生活保障給付金制度の創設や日本国民が受給する平均金額以上の年金が受給可能となる所要の立法措置を講ずることなどを勧告している。
 横浜弁護士会は,国が原告ら残留孤児に対する責任を速やかに認めることを願うものであるが,残留孤児のほとんどが高齢となっている現状において,その生活支援の必要性があることは紛れのない事実であり,そのための抜本的な支援策の実現が急がれる状況にあることにかんがみ,政府及び国会は,このような状況を重く受け止め,速やかに残留孤児の老後の生活保障など支援施策の抜本的な見直しや立法措置を行うなど施策を実現することを強く求めるものである。

2007年1月31日
  横浜弁護士会
   会 長  木 村  良

http://www.elint.co.jp/yokoben/info/statement/f_20070201_11182.html

07.1.30東京地裁判決の要点QアンドA

Q1 07.1.30東京地裁判決の内容を一言で言うとどういう判決ですか

A 判決内容を一言で言えば、「意に反して海外に留め置かれた日本人同胞について、国家はその早期帰国の実現をはからなくてもいいし、帰国後に支援しなくてもいい」というものです。
この理屈でいくと、国は北朝鮮拉致被害者を救出する義務もないし、帰国後に支援する義務もないことになります。それほど東京地裁の判断は、国民意識や社会常識に反するものと言わざるを得ません。判決は随所に「法的判断」を強調していますが、「法的判断」が国民意識や社会常識からかけ離れていいわけがありません。神戸地裁判決(06.12.1)は、孤児の帰国を制限する国の措置を違法と判断しましたし、結論的には孤児たちの請求を認めなかった大阪地裁判決(05.7.6)も、「帰国を希望する残留孤児のために早期帰国を実現させる施策を立案実行すべき」義務があったと判断しています。こうした点からも、今回の判決は、非常に特異な判断です。


Q2 判決は、残留孤児が発生した原因についてどう認定しているのですか

A 満州国の建国、移民政策、ソ連参戦を前にした関東軍の密かな撤退、終戦時の民間人の置き去りなどの一連の国策が、残留孤児を生み出した原因であることは、歴史的事実であり、大阪地裁判決・神戸地裁判決でも認定されている事実です。神戸地裁判決は、これを「無慈悲な政策」と述べました。
 ところが、判決は「法的因果関係」がないとして、それを否定し、何とソ連の侵攻だけを取り上げて孤児発生の原因としました。だから、国には救済する義務がないというのです。しかし、これまた「法的判断」の名の下に歴史事実に目をつぶるものであり、とうてい受け入れられません。


Q3 どうして判決は国交回復後まで帰国させなくてよいというのですか

A 判決は国交回復の時点では、既に26年以上経過しているので、既に「損害の発生という結果が生じてしまっている」とし、いかにも今さら手遅れだから、帰国を実現しなくてもいいと言わんばかりの判断をしています。
 とんでもありません。72年の国交回復から本格的に帰国が始まった85年までの13年の遅れは孤児たちに重大な被害を与えました。帰国が遅れるにつれて身元未判明および生活保護受給の率が高くなることも明らかです。
 さらに驚くべきことに判決は、大量に帰国させると、「国内で混乱と厳しい批判の生じるおそれ」があるとまで述べています。祖国に帰りたいという孤児の切実な願いと「国内の混乱」といったいどちらが重要だというのでしょうか。


Q4 判決が孤児の被害補償を認めなかった理由のポイントは何ですか

A 孤児の被害は戦争損害である、戦争ではみんなが損害を受けたのだから孤児といえども受忍すべきだ、というのです。
 しかし、孤児の被害は、歴史的には戦争に起因する被害ですが、より本質的には戦後の日本の政策による被害です。日本社会で育った日本人なら、どんなに貧しくても、どんなにハンディキャップを負っていても、少なくとも、日本語・日本の生活習慣・家族や友人関係など、日本で社会生活を送る基本的な能力・資質・人間関係を身につけています。しかし、孤児らは、戦後長期にわたって中国に置き去りにされたため、日本語や日本の生活習慣を身につける機会を全く与えられず、日本における人間関係を形成できず、何の財産もないまま、日本での生活を始めることを余儀なくされました。
 孤児たちが要求する「孤児独自の給付金」は、いかなる立場にある国民でも、戦後多かれ少なかれ享受することができた戦後復興の恩恵を孤児にも還元するものです。従って,戦争被害一般に対する補償とは全く趣旨を異にします。


Q5 判決はどうして孤児の生活支援をしなくていいとしているのでしょうか

A 判決は国に早期帰国実現義務がないのだから、帰国が遅れたことによる生活困窮を助けなくてもいいと判断しています。
 しかし、義務や義務違反の点をおくとしても、少なくとも戦後の政策によって帰国が遅れた孤児に対し、生活支援をしなくていいわけがありません。
 判決は生活保護で処遇しているからそれでいいとも述べています。これは国の主張の全くの引き直しです。孤児たちは、中国では社会人として立派に役割を果たしてきた人たちであり、能力もプライドも持っています。しかし、帰国の遅れと自立支援政策の不十分さの結果、その能力が活かせないために、生活苦に陥っているのであって、本来なら自立して生活できる人たちなのです。そのために、孤児たちは生活保護を受けること自体に強い屈辱感を感じるとともに、人間として、あるいは国民としての尊厳を傷つけられている現状を何とかしてほしいと訴えているのです。

不当判決(原告団・弁護団声明)

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              2007年1月30日

中国「残留孤児」国家賠償関東訴訟の判決について

     中国「残留孤児」国家賠償関東訴訟・原告団
     団 長  池 田 澄 江
     中国「残留孤児」国家賠償関東訴訟・弁護団
     団 長  鈴 木 經 夫


 本日,中国「残留孤児」国家賠償関東訴訟について,東京地方裁判所民事第28部は,原告らの請求を全面的に棄却する判決を言い渡した。
 本判決は,「早期帰国実現義務」,「自立支援義務」そのものを認めず,全面的に請求を棄却する極めて不当なものである。

 原告らは,幼くして満州の地に取り残されて以来,現在に至るまで,約60年間の長きにわたって,国の誤った孤児政策によって,「日本人として,日本の地で,人間らしく生きる権利」という,日本人であれば当然に有すべき権利の侵害を受け続けてきた。
 本件訴訟は,このような原告らが,国の政策の過ちを問い,日本人としての,そして人間としての尊厳の回復を求めるとともに,国策によって子や孫を再び残留孤児にするようなことがあってはならないとの願いを込めた裁判であった。さらには,私たち国民一人ひとりが,戦後一貫して日本人として当然の権利から排除,隔離されてきた日本国民がいるという現実を直視し,戦後日本の民主主義の質を問い直す契機となるべき,現代的意義をも有する裁判であった。

 ところが,本判決は,原告ら中国「残留孤児」の被害の実態から目を背け,日本人としての,人間としての尊厳の回復を求める原告らの思いを退けた。
 原告ら中国「残留孤児」は,これまで幾度となく祖国日本に見捨てられ,国会請願により国権の最高機関の良識ある対応を求めたが受け容れられなかったため,戦後約60年が経過してようやく「人権擁護の最後の砦」である司法に一縷の望みを託し,その救済を求めたのである。原告ら中国「残留孤児」にとって,司法が,日本人としての,そして人間としての尊厳の回復を求めることのできる,唯一最後の望みであった。
 しかしながら,本日言い渡された本判決は,このような原告ら中国「残留孤児」の思いを一顧だにしない,極めて非情で冷酷な判決であった。
 「人権の最後の砦」となるべき司法が,このような判決を下すことは,その職責を放棄したと言わざるを得ず,我々,原告団および弁護団は,この判決に対して強く抗議するものである。また,同時に,本判決に対しては,直ちに東京高等裁判所に控訴し,全国14の裁判所で闘っている原告(総勢約2200名)らと共に,闘い続けることを表明する。

 本判決は,国の責任を認めなかったが,昨年12月には,神戸地方裁判所が,国の「帰国制限」施策の違法および「自立支援義務」違反を厳しく断罪する判決を言い渡している。また,昨年2月に東京地裁で言い渡された先行訴訟判決(野山判決)においても,国の自立支援策が極めて不充分であったと厳しく指摘しており,国はこうした判断を真摯に受止めるべきである。

 現在,全国の中国「残留孤児」らの8割を超える者が提訴し,深刻かつ悲惨な生活実態を訴え,かつ高齢化する中で早期の解決を求めている。そして,中国「残留孤児」らを救済するために新たな支援策を作るべきであるという声が大きな世論となっている。
 我々,原告団および弁護団は,国に対し,中国「残留孤児」らが悲惨な生活実態に置かれていることを直視し,中国「残留孤児」らに対する施策を抜本的に転換し,全国原告団連絡会が要求する全面解決要求事項について,原告団および弁護団と早急に協議を開始し,中国「残留孤児」問題の全面解決を図るよう強く要求する。
 また,同時に,我々,原告団および弁護団は,中国「残留孤児」問題の全面的解決の実現まで,全力で戦うことをここに宣言する。

 最後に,この訴訟に対し,署名・傍聴活動等により絶大なるご支援をいただいた全国の支援者ならびに他地裁の原告団・弁護団の方々,そして原告らを勇気付ける温かい取材と報道に取り組まれたマスコミ各位に対し,心よりお礼を申し上げるとともに,今後も,全面解決に向けてのますますのご協力とご支援をお願いするものである。
以 上

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声      明
中国「残留孤児」全員に人間の尊厳の回復を!

                2007年1月30日
     中国「残留孤児」国家賠償訴訟原告団全国連絡会
     中国「残留孤児」国家賠償訴訟弁護団全国連絡会

 私たちは、2002年12月から今日まで、全国15地裁へ中国「残留孤児」2210名を原告とする国家賠償訴訟を提起し、法廷内外で闘ってきました。その目的は、裁判によって戦後60年に及ぶ「残留孤児」の筆舌に尽くしがたい深刻な被害をもたらした国の誤った「孤児」政策の違法性を明らかにすることによって、全国の「残留孤児」が願ってやまない「普通の日本人として、人間らしく生きる権利」を実現するにふさわしい政策を確立することが出来ると考えてのことです。
 昨年12月1日、私たちは、神戸地裁において待望の勝利判決を得ることが出来ました。神戸地裁判決は、帰国「孤児」の6割以上を生活保護の下で苦悩させている冷酷な国の「孤児」政策に対する厳しい国民的批判を引き起こしました。さらに、大半の「孤児」を生活保護から解放し、老後を人らしく生きることが可能となる「新たな給付金制度」の創設に対する国民的な理解と支持を強めるに至りました。また、「孤児」の悲劇を創り出した無慈悲な国の政策を厳しく指弾したとこれを支持する世論の高まりは、判決は、国会議員の中から政治の責任において中国「残留孤児」問題を解決しようとする動きを一段と加速させつつあります。
 これに対し、政府は、判決直後安倍首相が、国としての中国「残留孤児」に対する「きめ細かな支援」を表明したものの、従来の誤った政策を若干手直すためにわずかの予算を増額しただけで決着つけるという非情な構えをとっています。
 本日の判決は、原告40名を対象としているものの、全国の「孤児」原告の約半数となる1092名に及ぶ原告の訴訟を担う東京地裁の最初の判決です。それだけに、本日の判決を前にして近時国民世論の強い関心を改めて呼び起こすとともに、この判決が政府と国会が中国「残留孤児」問題を全面解決する契機となることへの国民的期待が高まりつつありました。
 このような状況の下で,本日,東京地裁は,国民の期待に反して極めて不当な判決を言い渡しました。同地裁判決は,事実を著しく歪曲し,国民の支持さえ得ることのできないものであって,神戸地裁判決の価値はいささかも揺るがないものと確信します。

 私たちは、政府に対し、次の通り要求します。
 ― 神戸地裁判決を真摯に受けとめ、これ以上裁判を争うことなく、中国「残留孤児」に対し謝罪するとともに、全ての中国「残留孤児」が日本人として人間らしく生きることが可能となる新たな給付金制度の創設を決断すること。
― 厚生労働省は、中国「残留孤児」原告団との定期協議の場を設け、中国「残留孤児」問題を全面的に解決するため、誠実に努力すること。

 最後に、私たちは、あらためて国民の皆さんに訴えます。
― 神戸地裁判決が認定した中国「残留孤児」発生と戦後60年に及ぶ苦難の歴史の真実について認識をより一層深めていただき、国がこれ以上不当に裁判を争うことを止め、速やかにこれまでの誤った政策を抜本的に転換をするよう政府へ働きかけてください。
― 中国「残留孤児」の人間回復を求める国民署名へ100万人を超える人々が署名してくれたことに示されるこれまでの私たちへのご支援に心から感謝するとともに、今後も私たちの「全面解決要求」を実現する闘いに対し引き続きご支援を下さるようお願いいたします。

以  上

不当判決(判決骨子)

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 1月30日東京地方裁判所は、原告40名全員の請求を棄却する不当判決を下しました。

【判決骨子】
平成14年(ワ)第27907号 損害賠償請求事件
平成19年1月30日午後1時30分 103号法廷

〔主  文〕 原告らの請求をいずれも棄却する。
〔理由の要旨〕
1 国が,原告らの早期帰国を実現する法的義務を負うと認めることはできない。
ア 原告らが早期帰国実現義務の根拠と主張する憲法,国際法・条約,法令は,いずれも,国に早期帰国実現義務を認める根拠とはならない。
イ 先行行為に基づく条理上の作為義務としての早期帰国実現義務も,認められない。
 歴史的な事実経過として,原告ら主張の先行行為,すなわち,満州国の建国,国策としての満州国への移民政策とその実施,昭和19年以降関東軍の防衛力が低下し,危険が高まったにもかかわらず,移民に対する何らの保護策をとらず,移民を送り続け,あえて民間人を危険な状態においたことなど,一連の政策決定とその実行のいわば延長線上に原告らが孤児となる事態が発生していることが認められるが,紛争の法的解決を目的とする民事裁判においては,これらを,国の法的責任の根拠となる先行行為(原告らが孤児となった法的な原因)とすることはできない。
ウ 原告らの損害は,戦争から生じた損害とみるべきものであり,条理によって,国に法的な早期帰国実現義務を認めることもできない。
2 原告らの帰国が遅れたとの主張に関して,国に何らかの違法又は著しく不当な行為があったものとは認められない。
3 国が,原告らに対して,法的な自立支援義務を負うと認めることはできない。  国がこれまでとってきた自立支援策は,人道的な見地から実施されたものと考えられ,これが法的に違法又は著しく不当であるとすることはできない。
4 原告らが主張する原告らすべてに共通する損害は,@中国で孤児となって中国人養父母に養育されたこと,A日本人の両親と暮らすことができず,日本語を母語とすることができなかったこと,B37歳前に帰国できなかったことであるが,これらの原因が,国の違法行為であると認めることはできない。 (以上)

※1.30レポート
http://www.geocities.jp/czk_oka/index.html
(中国残留孤児in岡山)

判決行動に多数の参加を!

「中国残留日本人孤児訴訟」
東京地裁判決行動に多数の参加を!!

昨年12月1日の「神戸地裁勝利判決」に続いて、1月30日いよいよ「東京地裁判決」が出されます。東京地裁訴訟は、孤児原告団の半数の1000名以上が参加した大型訴訟で、各方面から大きく注目されています。この判決を受けて、原告団・弁護団・支援者は次の一連の行動を展開します。多数の方々がご参加いただきますよう心から呼びかけます。

☆判決報告集会(1月30日・PM6・30・日比谷公会堂)
1月30日(火)PM1時30分、東京地裁判決が言い渡されます。これを受け、午後6時30分から日比谷公会堂で「判決報告集会」が開かれます。弁護団報告・全国の原告団の決意表明・政党代表挨拶・原爆症訴訟団の連帯挨拶などが行われます。会場を埋め尽くすご参加をお願いします。

☆国会請願デモ(2月2日・AM11・30・日比谷霞門集合)
2月2日(金)正午(12時)から1時まで、「国会請願デモ」を行います。1日比谷公園霞門前に11時30分集合です。原告以外の支援団体・個人の参加が大きな意味を持ちます。多数のご参加を期待いたします。
※首相官邸前宣伝行動 1月31日・2月1日・2月2日 AM8・00-9・00
※厚生労働省前行動   1月31日・2月1日 正午から1時まで


◎〜市民フォーラム〜
 「残留孤児の支援策はどうあるべきか」

裁判の大きな山場を迎えて、市民を中心にしたフォ-ラムを開きます。   
★期日・時間 2月6日(火)PM6・30-8・30
★会 場  航空会館(http://www.kokukaikan.com/tizu.htm
★基調報告 木下秀雄(大阪市立大学教授)
シンポジスト 
 浅野慎一(神戸大学教授)
 鍛冶致(大阪大学院生)
 菅原幸助(原告団相談役)
 大久保明男(2世代表) 
コーディネーター 
 神谷誠人(弁護士)氏他
★会場発言・討論など 
※200人の会場を満杯にしましょう!

連絡先
中国「残留」孤児国賠訴訟 全国原告団・弁護団孤児・市民連絡会
п@03-3447−1620

国会請願署名ご協力のお願い

 1月30日の東京地裁判決を受けた後、2月2日に原告団、弁護団、支援者は中国「残留孤児」問題の全面解決を求めて、国会請願デモを行い、その際下記内容の衆参両議院議長宛署名を提出します。
 署名にご協力お願い致します。

 http://www.jdla.jp/cgi-bin04/column/zan/upfile/219.pdf より、署名用紙をダウンロードできますのでプリントアウトして、中国「残留孤児」の人間回復を求める市民連絡会(〒141-0022東京都品川区東五反田1-13-2五反田富士ビル5F五反田法律事務所内 TEL/FAX 03-3447-1620)までお送り下さい。


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中国「残留日本人孤児」問題の全面解決を求める請願

 中国「残留日本人孤児」は、戦前、国策により国内各地から中国東北部(旧満州)に移民させられ、1945年の終戦の直前直後には、移民に応じた多くの日本国民が筆舌に尽くしがたい逃避行を強いられ、その中で家族と離散し多数の幼子がひとり中国の大地に取り残され、中国人に預けられるなどして奇跡的に一命をとりとめて生き延び、その後長年の間中国の地で人生を過ごすも、なお望郷の念にかられ、晩年は母国で平穏に暮らしたいと念願し日本に帰国してきた人たちです。ところが、これまでの日本政府の「孤児」に対する政策は、生活保護を中心とする極めて不十分なものでした。
 昨年12月1日の神戸地裁判決は、「孤児」の被害は戦争損害ではなく、政府が日中国交回復後に「孤児」の救済責任を負っていたにもかかわらず、様々な帰国制限の措置を講じたことは違法であると認め、かつ、帰国後の自立支援が法的義務であることを認定し、それが北朝鮮拉致被害者に対する支援策より貧弱であることは許されないと判示しました。
 これに対して、安倍晋三首相は「きめ細やか支援をしていかなければならない」と談話を発表し、与党中国残留孤児プロジェクトチーム(座長・野田毅議員、座長代理・漆原良夫議員)も下記請願事項を首相官邸に申し入れました。ところが、厚生労働省は、従来の政策を改めようとしていません。
 「孤児」たちは、普通の日本人として平穏に暮らせる保障を求めて、全国15地裁で裁判を起こしています。今後、東京地裁、徳島地裁、広島地裁、高知地裁などで判決が言い渡されます。この判決を契機に、日本政府がこれまでの孤児政策を抜本的に転換することが求められます。
 そこで、私たちは「孤児」たちが「心から『日本に帰ってよかった』と言えるため」に、特に次の事項の実施を請願いたします。

1 「中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立支援に関する法律」(自立支援法)を改正し、国の責任において「残留孤児」の生活を保障・支援する旨を明記すること。
2 「残留孤児」の生活保障のため、「残留孤児」を対象とした新たな給付金制度を創設すること。

衆 議 院 議 長 殿
参 議 院 議 長 殿