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憲法が生きる都政の実現を訴える

 かつて、美濃部革新都政は、憲法の理念を現実の市民生活に生かす実践において大きな足跡を残した。都民参加で政策を形づくる民主主義の手法と、それゆえの福祉・環境や教育などの諸分野における顕著な成果が、国政をリードした。

 いま、都政はその対極にある。4期半ばまでの石原都政は、憲法の理念を蹂躙し続けた惨憺たる13年余であったと指弾せざるを得ない。

 非民主々義的トップダウンの手法によって、福祉は切り縮められて格差と貧困が拡大し、教育の場には自由が逼塞して管理と統制が支配し、莫大な資金が財界を潤す公共工事や、知事の気まぐれや思いつきを形にした新銀行東京、あるいはオリンピック招致に費やされた。また、都政は、脱原発の深刻な都民の声に耳を傾けようとしない。さらに看過し難いのは、尖閣諸島購入提案に象徴される偏狭なナショナリズム煽動の危険である。

 石原都政下において、傲慢な差別主義者である知事の個性と、新自由主義と国家主義とをないまぜにした政策によって、民主主義のみならず、多くの都民のより良く生きる権利が奪われ、平和に生きる権利すら危うくなっている。

 石原の当選を許した過去4回の都知事選においては、憲法の理念を擁護する方向での統一した候補者の擁立が望まれつつも結果として実現できなかった。しかし、ようやくいま、久しく望んだ統一候補の擁立が理想的な形で実現されようとしている。時代と切り結ぶ、反貧困、脱原発、教育再生の旗を掲げて、まことに適切な候補者のもと、広範な人々の壮大な都政大転換の運動が巻き起ころうとしている。

宇都宮健児予定候補の陣営が掲げる「人にやさしい東京をつくる」という都政の目標の設定は、石原都政の政治姿勢との訣別を示すものとしてまことに適切であり、そのための「脱原発・反貧困・教育再生・憲法の擁護」という政策の4本の柱は、全面的に支持できるものである。

 今、千載一遇の好機が到来している。石原が投げ出した都知事の椅子に、石原後継や亜流を座らせてはならない。真の都民の代表こそが、その席にふさわしい。

 日本民主法律家協会は、かつて美濃部都政実現とその政策実現の一翼を担った経験に鑑み、再び憲法が生きて輝く「人にやさしい東京」の実現のために、全力を尽くすことを決意し、宣言する。


2012年11月27日
日 本 民 主 法 律 家 協 会




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