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第20回最高裁判所裁判官国民審査の要望  
2005年8月29日

司法の独立と民主主義を守る国民連絡会議

中央選挙管理会 御中 都道府県選挙管理委員会 御中

要望の趣旨

1、来る9月11日実施の第20回最高裁判所裁判官国民審査の意義について有権者(審査人)の理解を深めるために
(1)公報、新聞広告、テレビコマーシャルなど各種媒体を用いて、国民審査の意義に関する啓蒙宣伝を更に強めて頂きたいこと。
(2)最高裁判所が開設しているホームページを審査広報等に掲載し、審査人がアクセスできる便宜を図って頂きたいこと。
2、投票の適正を確保するために
(1)投票当日、投票用紙交付場所及び投票記載場所、その他投票所の見易い場所に、何人にも理解できる表現で、従来からの1の表示に加え、次の2,3,4を明記した掲示をするよう指導して頂きたいこと。
  1. やめさせた方がよい(不信任)と思う裁判官には×を、やめさせなくてよい(信任)と思う裁判官には何も書かないで下さい。
  2. ×以外の記載、たとえば、○や△を記載したり、投票用紙全面に×とか○を記載したりしますと、全てが無効になります。
  3. 投票したくない人、あるいは信任、不信任のいずれにすべきか迷っている人は、投票用紙を受け取らないか、また、いったん受け取った後でも、係員に返すことができること。
(2)審査公報及び投票入場券に、前号に記載する事項を刷り込み、投票の適正を確保して頂きたいこと。
(3)投票所における係員、立合人等において、投票当日、審査人に対し、棄権の自由を認めず、事実上の投票強制にわたる言動の決してないよう予め指導して頂きたいこと。

要望の経緯

1、私たち国民連絡会議は、昭和46年9月、「司法の危機」といわれた時期に、市川房枝、野村平爾、吉野源三郎、青島幸男、総評議長、社共公3党代表者らが呼びかけ、労働組合、各種大衆団体、法律家諸団体、政党などで構成される「司法の独立と民主主義を守り、憲法改悪に反対すること」を目的に創立されました。
  私たちは、最高裁判所裁判官の任命手続の民主化をはじめその時々の司法問題に対処する一方、特に最高裁裁判官国民審査を重視し、昭和47年の第9回以来毎回の国民審査において、そのつど貴会及び各級の選挙管理委員会への要請を重ねるとともに、有権者に対して、国民審査の意義を訴え、護憲の府・人権の砦としての最高裁判所の姿勢を直すまたとない機会としてこれに取り組む運動を行ってまいりました。
2、しかしながら、今回、衆院解散・総選挙の実施が慌しく決められたことに加え、日頃から国民審査に対する有権者の関心が異常に低く、はなはだ憂慮すべき状況下にあることは、貴会及び貴管理委員会におかれても痛感しておられることと思います。
また、国民審査に関する啓蒙宣伝、わけても審査される裁判官に関する情報が極めて少ないうえに、投票方法が×印か無記載の二つに一つしかなく、信任、不信任の判断がつかない場合でも投票が事実上強制され、棄権の自由も十分確保されていない実情が見受けられます。これは、投票方法やその効力に関する啓蒙が十分なされていないことが原因のひとつと考えられます。
3、私たちは、投票方法を○×式に改める立法改正を求めながら、現行制度のもとで、審査人ができるだけ多くの情報に基づいて信任・不信任の判断ができるようにすること、その判断ができない場合を含め棄権の自由が十分保障されることによって審査の適正が確保されることを求め、もって、国民審査が憲法の予定する方向で生かされることを願ってきました。
4、よって、今回の最高裁判所裁判官国民審査に先立ち、私たちは貴会及び貴管理委員会に対し、要望の趣旨記載の措置をおとり下さいますよう、本要望に及ぶ次第です。
以上



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