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イラクからの自衛隊撤退を求める  
2004年4月16日

 内閣総理大臣 小泉純一郎殿
日本民主法律家協会
日本国際法律家協会
青年法律家協会弁護士学者合同部会
日本反核法律家協会
社会文化法律センター
自由法曹団

 私たちは、人権を至高の価値とする法律家として政府に訴える。
 イラクで人質として拘束された3人の民間人が、昨日解放された。
 この3人を拘束した武装グループは、当初「自衛隊を3日以内に撤退させなければ3名を殺害する」と声明した。この事態を招いた原因が、自衛隊のイラク派遣にあることは「声明」にみるとおりである。これに対し、政府は危機に瀕している3人の命を顧みることなく、「テロに屈してはならない」として、早々と自衛隊の撤退拒否を宣言した。
しかし、私たちは、国民の生命尊重を凌駕する自衛隊イラク派遣の大義はありえないものと考える。
 そもそも、自衛隊のイラク派遣は、国際法を蹂躙した米軍の武力行使を支援するものとして、日本国憲法9条に反している。のみならず、「イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法」(イラク特別措置法)では、自衛隊の活動範囲を「現に戦闘行為(国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為)が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域」と限定している。イラクにおいては、抵抗勢力による米軍に対する攻撃が続き、国連事務所等も攻撃されている。外国の民間人も多数拘束され、自衛隊を狙ったと思われる砲撃事件も伝えられている。また、米軍はファルージャなどイラク各地で、女性子どもを含む民間人を多数殺害している。この状況に照らせば、サマワも例外とせず、イラク全土が戦闘地域になっている。
 大義のない違法な戦争を支援するための自衛隊派遣が今回の「人質」事件を招いたことは歴然としている。今回の民間人身柄拘束事件は無事に解決したが、このままでは国民の安全を脅かす類似の事態が形を変えて繰り返されることを恐れなければならない。
 私たちは、政府が自ら提案した法律を守り、自衛隊をイラクからすみやかに撤退させることを強く要望する。

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