ひろば 2018年1月

 「若者」について


 1 あけましておめでとうございます。
 昨年に日本民主法律家協会に入会しました、弁護士(69期)の辻田航と申します。みなさま、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
 さて、若手法律家として寄稿させていただきますので、今回は「若者」について述べたいと思います。
 2 まず、「若者の保守化」について。
 こちらの界隈ではよく、「若者が保守化(右傾化)している」、「多くの若者は自民党を支持している」といったことが言われます。しかし、本当にそうなのでしょうか?こういった主張は、得てして根拠が示されることなく、感覚的に述べられがちです。
 昨年の衆議院総選挙では、出口調査における自民党得票率に投票率を掛けた「絶対的得票率」を年代別に見ると、若い世代ほど自民党に投票する割合は低くなっていたようです。選挙の際に投票所に行って投票するほど自民党を(強く)支持する人の割合は、高齢層よりも若年層の方がむしろ低かった、ということになります。
 そうなると、投票傾向から若者が保守化していると言うことはできません。
 若年層について問題なのは、むしろ投票率の低さ、政治的無関心の方にあるのではないでしょうか。
 3 なぜ、若者は政治に無関心なのでしょうか。先ほど感覚的な議論を批判しておきながら、ここからは私の感覚に基づいてしまいます。
 まず、政治に対する一種の「諦め」があるように思えます。自分が投票したり、何か主張したり、行動したりしたとしても、どうせ政治や社会は何も変わらない、といった「諦め」です。今の20代などは、バブル崩壊後、「失われた20年」とか「ゆとり世代」とか、自分にはどうすることもできなかった要因で、社会的に冷たい目を向けられながら育った世代です。政治によって社会が良くなったという実感も、ほとんど体験したことはないでしょう。そうすると、経験上、政治に関心をもつのは時間的にも経済的にも「ムダ」になりますので、政治や社会はどうすることもできないことを前提にして、いかに賢く生き抜いていくか、ということに関心が絞られていきます。
 また、受けてきた教育にも問題があると感じます。受験のために正解を覚えることはしますが、正解のない問題について考えたり、議論したりといった機会は、高校までほとんどありません。正解は考えたり作ったりするものではなく、与えられるものとして教えられてきたので、正解のない政治問題を考える意欲はわきません。くわえて、現代史をほとんど扱わないことも問題です。自分の学んだことと現実の社会の歴史的なつながりが見えないまま、大人になってしまったのではないでしょうか。
 4 では、どうすれば無関心な若者に問題を伝えられるでしょうか。難問ですが、思い付くことを挙げてみます。
 第一に、生活にひきつけて伝えることです。若者でも、自分の生活に不満や不安を抱えていることが多いでしょう。戦争の危険性といった抽象的な議論から入るよりも、増税で生活が苦しくなるといった話からの方が、関心を持ちやすいのではないでしょうか。
 第二に、短く伝えることです。多くの若者は新聞よりもネットでニュースを得ますが、ネットニュースは短いものが多いです。またツイッターであれば、投稿1回で140字しかありません。長いものを読む習慣がないので、短い文章でわかりやすく伝えないと、読んでくれません。
 第三に、対等な立場で伝えることです。わざわざ説教を聞きたい人はいませんから、上から目線の話では聞く気が失せてしまいます。対等な関係、できれば近い世代から伝えたほうが、向こうも反論しやすく、話が続きやすいでしょう。私が政治に関心を持ち続けられているのも、同期と議論できる環境があることが大きいのです。
 5 ある世代の空気を変えるのは大変なことですが、若者を変えるということは未来を変えることにつながるはずです。みなさまにおかれましても、若者に伝えることを、どうか諦めないでいただければと思います。

(弁護士 辻田 航)


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