日民協事務局通信KAZE 2005年11月

 「法民賞」選考委員に選ばれて

 先日、「法と民主主義」賞選考委員に選ばれて、責任を痛感している。伝統ある「法・民」をますます発展させるために大きな貢献をするべく任務づけられている「法・民賞」を有効に生かすために、十分慎重に公正に考えていかなければならない。そんなことを考えながら、昨年度、今年度の法・民を改めて隅から隅まで読んでみたりした。その時々のテーマの選定が適切で、執筆者も適切に選ばれているという感想をもった。編集委員会の御努力に改めて感心した次第である。
 そんな中で、鳴門で開かれた一〇月二三、二四日の自由法曹団の総会に参加してきた。小生も古希に達したので、表彰してくれるというので久しぶりの参加であった。こんな時だけ参加するようで心苦しかったが、折角の表彰であるし、自由法曹団の元気のよい雰囲気を満喫しようと出席し、「晴れて」表彰を受けてきた。私のように気楽に弁護士生活を送ってきた者に表彰もないものだと思っているが、それでも嬉しいものである。表彰状も、受賞者それぞれの業績を上げて書いてくれていて、恐縮したが丁寧なもので感激した。そのあと、鳴門の海を展望しながら分科会に出席し、みなさんの討論に耳を傾けてきた。その中で感じたのは、地方の団員の活躍である。憲法九条の会の活動、「つくる会」教科書の採択問題、教育基本法改悪反対運動など、どの問題をとっても地方の運動が活発であることが分かった。東京にいると、この辺のところがよく分からない。特にその地方なりの悩みなどは、分からない。大型合併、三位一体改革が呼号されている現在地方の悩みは深い。こうした中での法的な問題も多いと思われる。
 そう考えてくると、「法・民」でも地方の問題をもう少し取り上げていったらどうかと思う。北海道、仙台、名古屋、大阪、香川、広島、福岡、北九州、沖縄などにはかって日民協の支部があったり、活動家がいたりしたのである。常時地方の欄をもうけるとか、以前のように、紙面の一部の編集を地方に任せるとかの方法で地方との連携を活発化させたらいいのではないか。日民協の組織拡大のためにもなるのではないかと思う。
 久しぶりに全国の自由法曹団の団員の幅広い豊かな活動の息吹を感じたことと、たまたま「法民賞」の選考委員に選任されたことを機に、「法・民」の誌面への構想にまで、想像力を働かせてしまった。
 さしづめ、米軍基地再編成問題、地方自治問題、教育問題、労働問題などの特集企画が、地方の会員との連携で誕生させられたらとてもうれしい。
 四〇一号より表紙の衣替えをしたわが「法・民」は、協会活動の柱であり、法律家運動の共同の理論と運動の機関誌としての役割をこれからも果たしてほしいと、「法・民」を改めて通読した感想である。

弁護士 榎本信行


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