日民協事務局通信KAZE 2005年2・3月

 「法と民主主義」400号が間近となった

(事務局長・澤藤統一郎)

▼本号が、本誌三九六号である。シリーズ特集が「人権保障と憲法九条」。平和に生きる権利は孤立してあるのではなく、人間として生きる諸権利と密接に結びついている。平和なくして人権なく人権なくして平和はない、という観点からの論稿集。それぞれの人権運動の現場からの報告は読み応えあるものと思うが、いかがだったろうか。そして、小特集として「敗訴者負担廃案はいかにして勝ち取られたか」。近来まれに見る「勝利した悪法阻止運動の記録」である。日弁連の担当者からも論稿もいただきつつ、市民サイドに軸足をおいた総括となっている。なぜ勝てたかをじっくり考えたい。
▼次号・四月号が三九七号。「憲法九条をめぐる裁判」(仮称)の特集。憲法裁判のベテラン弁護士・若手弁護士そして憲法学者の座談会をメインに据える。九条裁判の黎明、九条裁判の展開、最近の九条裁判、そしてこれからの九条裁判と平和運動の展望。そのような章建てで、各章にふさわしい諸論文やレポートを掲載する。
 そして、もう一本の特集が、「鈴木安蔵先生生誕一〇〇周年」。憲法改正論議喧しいこの折に、鈴木安蔵先生に学ぼうという企画。鈴木安蔵先生は、現行憲法制定時に徹底した民主的憲法をつくろうと奮闘された方。その思想はどう形成されたかを、後輩筋の憲法学者に語っていただく。
▼続いて三九八号となる五月号の特集企画予定が、「徹底検証・石原都政」。石原慎太郎という特異な政治家の基本思想を差別発言やジェンダフリー攻撃で検証し、その具体化としての都政を、治安、教育、福祉、再開発などの諸分野に見ていこうという内容。
 もっとも、「都政は、実は石原慎太郎のキャラクターで動いているのではない。基本的には忠実に財界の意向で動いている。しかも、国の方針を先取りした形を都の官僚が設計している。石原は、それに乗っかっているに過ぎない」との意見もある。都政は単純な「石原色」だけではない。
▼三九九号となる六月号発行の時期には、両院の憲法調査会による最終報告が出ているだろう。憲法改正国民投票法案も上程されているかも知れない。各党の改憲・護憲の姿勢が鮮明となっているはず。これらの情報と論稿を満載した三九九号になるはずだ。改憲是非を巡る攻防の時代に突入する。
▼そして、本誌は本年七月号で創刊四〇〇号という記念号発行を迎える。毎年一〇号発行のペースを厳守して四〇年である。あらためて、継続は力だと思う。この記念すべき四〇〇号をどう企画するか、会員読者の皆様にお知恵を借りたい。
 とりあえず、編集委員会が考えていることは、これまで編集・発行に携わった先達に登場していただこうということ。四〇年の歴史を築いてきた「法と民主主義」の編集理念、存在意義、そして期待と展望を縦横に語っていただこう。
 出来れば、これを機に、表紙のデザインや誌面の組み方もリニューアルしたい。編集委員も若手を登用して、充実させたい。
▼七〇〇号発行時期は、第一回法民賞の授賞時期と重なる。本誌はますます充実して、確かな改憲阻止運動の拠点となるだろう。法律家運動の分野に、独立・平和・人権・民主主義そして護憲の志が燃え続ける限り、「法と民主主義」はさらに継続し発展するだろう。


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